朝起きられないのは怠けじゃない ― 起立性調節障害（OD）とは？

「朝、どうしても体が動かない」「頭が痛くて学校に行けない」――そんな子どもを見て、親も本人もつらい気持ちになったことはありませんか？
もしかすると、それは 起立性調節障害（Orthostatic Dysregulation：OD） かもしれません。

起立性調節障害ってなに？

起立性調節障害とは、自律神経のバランスが乱れて、血圧や心拍をうまく調整できなくなる病気 です。
特に小学生高学年から高校生くらいに多く見られます。

• 朝起きられない
• 立ち上がるとふらつく
• 頭痛や吐き気がする
• 午前中は体が重く、午後から元気になる

こうした症状がよく見られます。

「ただの夜更かし」や「怠け」ではなく、医学的な理由があるのです。

よくある誤解

ODの子どもたちは、周囲から誤解されやすいです。

• 「甘えているんじゃないの？」
• 「やる気がないから遅刻するんだ」

しかし本人は、学校に行きたいのに体が思うように動かず、罪悪感を抱えながら過ごしています。
一番苦しいのは本人 であることを、まず理解することが大切です。

診断と治療

起立性調節障害は、小児科や心療内科で診断 を受けることができます。
血圧や心拍の測定、問診などで判断されます。

治療には次のような方法があります。

• 水分・塩分をしっかりとる
• 朝は無理に起こさず、体調に合わせて登校する
• 必要に応じて薬の使用（昇圧剤など）
• 学校と相談して遅刻や在宅学習を取り入れる

「生活の工夫」と「周囲の理解」が大きな助けになります。

家庭でできる工夫

• 睡眠環境を整える：夜更かしを防ぎ、寝室は暗く静かに
• 水分補給を意識する：朝起きたらまず水やスポーツドリンクを飲む
• 体調のよい時間を活かす：午後や夜に勉強時間をシフトする
• 無理をさせない：登校の形にこだわらず、その子のペースを尊重する

「周りと同じようにしなければ」と焦る気持ちをやわらげ、できることから積み重ねていくのがポイントです。

周囲に伝えたいこと

起立性調節障害の子どもたちは、見た目には元気そうに見えることもあります。
でも実際には、朝の体調不良で毎日必死に戦っています。

だからこそ、

• 「怠けている」と決めつけない
• 本人の声をよく聞く
• 学校や地域が柔軟に支える

この理解と支援が、子どもの回復を早め、安心して過ごせる環境につながります。

まとめ

起立性調節障害は珍しい病気ではありません。
誰にでも起こりうるもので、決して「性格の問題」や「甘え」ではないのです。

大切なのは、本人の苦しみを理解し、寄り添いながら一緒に工夫していくこと。
「朝起きられないのは怠けじゃない」――その一言が、子どもや家族を救う力になります。

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